1. はじめに
今回は、「裁判鑑定(第三者鑑定)」を依頼した場合、どのような結果になるのかを解説します。
2.裁判鑑定(第三者鑑定)とは
裁判鑑定(第三者鑑定)とは訴訟法に基づく裁判所の命令による鑑定評価のことです。一般の鑑定評価と同じく不動産鑑定評価基準に準拠した鑑定評価ですが、係争中の案件のため、客観性・中立性が重視されます。
3.裁判鑑定(第三者鑑定)を行う不動産鑑定士の能力は
「裁判鑑定(第三者鑑定)」を行う不動産鑑定士は裁判所が指定するため、原告及び被告は不動産鑑定士を選ぶことが出来ません。裁判所が指定するため不動産鑑定士であるため一定の能力を備えているものと期待しますが、必ずしもそのような能力を備えている訳ではないようです。
以前、弁護士の先生から「裁判鑑定(第三者鑑定)」の鑑定評価書の内容について相談を受けました。継続賃料の事案でしたが、「利回り法」のみを適用するという危なっかしい評価であり、相談された弁護士サイドにとっては極端に不利な評価額となっていました。その後、裁判の結果を教えてもらいましたが、「裁判鑑定(第三者鑑定)」の評価書の不合理な点を指摘したこともあり、同評価書の評価額とは全く異なる金額で和解ができたとのことで、ホットされていました。
以上の事案をとっても、「裁判鑑定(第三者鑑定)」には当たり外れがあるということが分かります。
4.裁判鑑定(第三者鑑定)への対策
前項の通り、「裁判鑑定(第三者鑑定)」によって求められる評価額は予測が出来ないため、結果として、不本意な評価額を突き付けられる可能性があります。
したがって、訴訟に至る前に、不動産鑑定士に相談することや「私的鑑定」を依頼することが事前の対策として重要と考えます。
5.最後に
次回も継続賃料を説明します。
回答者 不動産鑑定士 佐々木 哲
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