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福岡!企業!元気!のための年金ワンポイント 《平成26年1月号》
離婚分割について1

 近年、熟年離婚が非常に多くなっていると言われていますが、中高齢になりこれまで夫に生活を依存していた女性が、いきなり一人で生活を営んでいくのは容易なことではありません。十分熟慮の上決断をしていただきたいと思いますが、今回と次回にわけて、離婚分割の内容を紹介していきます。 基本的な仕組みとしては、離婚する場合に、婚姻期間中の厚生年金の保険料納付記録を夫婦間で分けるものです。 分割後は、その分割してもらった、元妻は、増えた保険料納付記録に応じて厚生年金を受給することができますが、自分の受給開始年齢からもらうことができます。 また、もうすでに老齢厚生年金をもらっている場合は、年金分割の請求をした月の翌月から増えた年金額となります。 実は、厚生年金の分割制度には2種類あります。 @ 平成19年4月から始まった厚生年金の分割制度である「合意分割」 A 平成20年4月から始まった第3号被保険者期間についての分割制度「3号分割」 この2種類の制度の大きく違うところを説明します。

 合意分割制度  3号分割制度 
 制度の開始時期  平成19年4月1日  平成20年4月1日 
 分割の方法 婚姻期間中の厚生年金の保険
料納付記録が多い方から、少な
い方に対して記録を分割 
第3号被保険者期間中に厚生年金の被
保険者であった方から、第3号被保険者
であった方に対して記録を分割 
 分割の割合 当事者の合意又は裁判手続き
により定められた割合(上限50%) 
50%(固定) 
 請求者 当事者の一方または双方 第3号被保険者であった方 
 手続き期限 原則、離婚成立後2年以内(特例あり) 
 分割手続き 標準報酬の改定請求
合意又は裁判所の決定により
年金事務所で手続き 
標準報酬の改定請求
合意は不要  

次に分割後どういったことになるか(効果)いくつかあげます。
・分割は厚生年金(報酬比例部分)の額のみに影響し、老齢基礎年金の額には影響ありません。
・分割の影響は、将来に向かってのみ効力が発生します。過去に向かって年金の権利が発生したり、受給金額が減らされることはありません。
・分割後に元配偶者が死亡しても、分割してもらった元妻の年金額に影響はありません。
・分割してもらった厚生年金の期間自体は、年金をもらうための受給資格期間にはなりません。
・65歳後の離婚で、元妻がもらう老齢基礎年金に配偶者手当(振替加算)がついている場合、分割により厚生年金の記録をもらうことで20年以上になれば、この配偶者手当はなくなります。

【3号分割と合意分割の関係】
 合意分割の請求を行う場合、その対象期間に3号分割の期間が含まれるときは、合意分割の請求があった時点で、合わせて3号分割の請求があったものとみなされます。

【情報提供の請求】
 あらかじめ分割のための按分割合を決めるために、必要な情報を把握しておきたい方につ いては、必要な情報を単独でも請求することができます。ただし、離婚後に単独で請求す る場合は、両者に通知されます。
【情報提供の内容】
・分割の対象となる期間
・両者の納付記録
・按分割合の範囲
・年金見込額

回答者 特定社会保険労務士 堀江 玲子
堀江社会保険労務士事務所
特定社会保険労務士 堀江 玲子
福岡市早良区西新4-7-10西川ビル304
TEL092-836-8238 FAX092-836-8239
HP http://hreiko-office.com/
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