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福岡!企業!元気!のための年金ワンポイント 《令和4年4月号》
障害年金・遺族年金よもやま話〜自分で障害年金申請を行いたい方へ〜

障害年金の申請方法として、「障害認定日請求」と「事後重症請求」という2種類の方法があります。前者は、認められた場合最大5年分を過去にさかのぼって受け取れます。後者は、提出日の翌月分からしか受け取れません。ですから、障害年金のことを少し調べた方は、「障害認定日請求」を希望します。ただ、様々な条件が満たせず、多くの方は「事後重症請求」とならざるを得ません。
自分で行う場合、請求しようとする病気がもとで、日常生活や働くことに支障がある方がほとんどですから、年金事務所で尋ねながら提出書類を揃えるのに、数か月や半年はあっという間に過ぎてしまいます。初診日の証明書が取れず、行き詰ってしまう事や、「病歴・就労状況等申立書」が書けない等の困難な事がよく起こります。
金銭的な余裕がなく、社会保険労務士に依頼できないと思っても、受け取れる事が決定した後、初回に振り込まれる2〜3か月分の報酬を払い、1月でも早く受け取ったほうが、結果的に有利となることが多いのも事実です。手前味噌ですが、"餅は餅屋よ!"と私も思っています。ですが、まずは自分でやってみて、ダメな場合にプロに依頼したいという方もいますので、今月号はなるべく皆様方がスムーズに手続きできるよう、日頃の業務から得たことをご教示します。

【事後重症請求をする上での注意点】
(1) 手続きの事前学習
年金事務所を予約する前に可能であれば、障害年金申請手続きの流れや専門用語ですが、「初診日」「障害認定日」等の言葉の意味は、理解しておいた方がいいと思います。これらの言葉が全く分からないと、間違った診断書を取得したり、用意する書類の順番が逆になったりして、後で困ることがよくあります。
(2) 資料を集める
自身の病気に関する記録が載ったもの(診察券・各種医療証や障害者手帳等)を手元に集める。できれば、これまで受診した病院を時系列に並べたメモを作成してください。これは年金事務所で必ず初診日を聞かれる事と、後日「病歴・就労状況等申立書」を作成する際に大変役立つからです。このメモには、申請しようとする病気以外の病気の受診の事は書かないでください。
複数の病気をお持ちの方もたくさんいます。たくさんの病気を書いたほうが受給出来やすいのではと考えるようですが、違うのでやめてください。請求したい病気に絞って、資料を集めましょう。
(3) 1回目の相談
年金事務所を予約後、集めた資料を元に請求する病気について、手続きの流れの説明を受けてください。
「障害年金キット」という申請書類一式を受け取ります。わからないことは率直に聞いてください。一般的に、職員から次回は「受診状況等証明書」と「病歴・就労状況等申立書」の下書きを持参するよう言われることが多いようです。
(4) 2回目の相談
前回言われた書類を持参し、納付要件等に問題がなければ、いよいよ診断書の作成依頼です。職員から診断書作成の注意点を言われるかと思いますが、診断書の内容で受給が決まるといっても過言ではありません。大事なことは「現在の障害状態を正確に反映した診断書になっているか」です。作成前に主治医に自身の状態を正確に伝えることも大事ですが、出来上がった診断書の内容にも目を通して、納得いくものになっているか確認してください。
ただ、診断書の内容が良好で軽いものあれば、受給できないことになります。内容が悪くないと受け取れないとので、複雑な境地になるかもしれません。
(5) 3回目の相談・提出
「病歴・就労状況等申立書」を仕上げ、診断書が出来上がりそうだという時点で、請求書や戸籍謄本等の必要書類を揃えます。同時に年金事務所に予約を入れ、漏れがないか確認の上書類一式持参します。
(6) 提出時又はその後の対応
すんなり提出できれば、大変だったけれど一安心となりますが、窓口でチェックが入ることもよくあります。揃えた「受診状況等証明書」「診断書」「病歴・就労状況等申立書」の内容に矛盾が見つかることがよくあります。整合性が取れないとも言います。日付が前後している、初診日の前に受診した病院がある、検査結果が載っていない等です。その場合は、病院で訂正してもらう等の対処が必要となります。年金機構内部の審査の中で指摘されることも多く、そうなると提出して1〜2か月後に戻ってきたりします。
指摘された箇所の修正を行い、結果を待ちます。不安になっても、3か月ほどかかるので待つしか方法はありません。
(7) 結果通知
通れば、いきなり年金証書が届きます。経済的な安心感につながり、この半年ぐらいの苦労が実りましたね!

回答者 特定社会保険労務士 堀江 玲子
老齢・遺族・障害年金・脱退一時金・労災・加入記録の調査、手続き等
堀江社会保険労務士事務所
特定社会保険労務士 堀江 玲子
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