どのような事業を開始するのであっても、「人」「物」「金」は必要になりますが、今回は貨物自動車運送事業に必要な「人」のなかでも特に重要な「運行管理者」について取り上げてみようと思います。
【運行管理者とは】
貨物自動車運送事業を営むにあたっては、必ず「運行管理者」の選任が必要になります。
運行管理者は事業者に代わって事業用自動車の運行の安全を確保する業務を行うとても重要な役職です。
一般貨物自動車運送事業は最低5台の車両が必要ですが、ひとつの営業所につき29台までは1名の運行管理者を配置すれば大丈夫です。
30台〜59台は2名以上、60台〜89台までは3名以上と車両の台数によって選任する人数が変わります。
【運行管理者になるには】
この運行管理者ですが、誰でもなれるわけではありません。
原則として、運行管理者試験に合格して「運行管理者資格者証」の交付を受けていなければなりません。
また、運行管理者試験は「貨物」と「旅客」があり、貨物運送業の運行管理者は当然に「貨物」の運行管理者に合格していなければなりません。
運行管理者試験は年2回(8月頃と3月頃)に実施されます。
平成23年3月に実施された試験の結果は、受験者数24,295人、合格者数8,200人、合格率33.8%となっています。
出題範囲は、
@ 貨物は貨物自動車運送事業法(旅客は道路運送法)
A 道路運送車両法
B 道路交通法
C 労働基準法
D その他運行管理者の業務に関し、必要な実務上の知識及び能力
の5分野からとなっており、合格には総得点が満点の60%以上であり、@〜Cについては正解が1問以上、Dについては正解が2問以上であることが必要です。
なお、受験資格については、
イ.事業用自動車の運行の管理に関し1年以上の実務経験を有する者。
ロ.実務の経験に代わる講習を修了した者。
の二つが定められています。
しかしほとんどの方がロの講習を修了した者ではないでしょうか。
この講習は独立行政法人自動車事故対策機構の行う「基礎講習」が認定されています。
【運行管理者試験に合格するには】
運行管理者試験は合格率だけを見るとわりと合格率が高いように感じますが、出題範囲が広範囲な上、近年は出題形式も変わってきており、難易度は高くなってきていると言えるでしょう。
しかし、きちんと勉強すれば受かる試験です。
まず重要なことは過去問を勉強することでしょう。
運行管理者試験は、ある程度決まったパターンで出題されるので、過去問を何度も繰り返し解いて理解すれば合格点はとれると思います。
やみくもに参考書を読み漁るより、過去問を繰り返し学習するのが最も効果的だと思います。
【最後に】
実は私自身、8月28日の運行管理者試験を受験してみました。
試験結果の発表は9月27日にされるのですが、合格している"はず"です(笑)。
私は運行管理の実務経験がないので、基礎講習を受講して受験資格を得ました。
そして過去問を繰り返し解き、試験問題のパターンとポイントを理解しました。
今後は運行管理者試験の「旅客」にも挑戦してみようかと密かに企んでおります。
また、せっかく理解した試験の出題パターンやポイントを皆様にもご披露できないかとも考えております。
「運行管理者試験対策セミナー開講!」なんてこともあるかもしれません(笑)
最後に余談が長くなりましたが、運行管理者はひとつの営業所(29台以下の場合)に1名いればいいというわけではありません
法的には1名いれば問題ないのですが、その人が退職したらどうなりますか?
また社長本人が資格を持っていても、運行管理者資格者証の返納を命ぜられたらどうなりますか?
万が一の為にも社内に複数の有資格者がいるようにするべきです。
1名しか運行管理者がいない営業所については、補助者の選任要件である基礎講習をどなたかに受講させることから始めるとよいと思います。
基礎講習受講後は記憶が残っているうちに早めに受験される事をおすすめします。
回答者 行政書士 久々宮典義
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