ある職業に就く際や許認可申請をする場合には、法律に記載されている欠格事由に該当していないか確認する必要があります。
この欠格事由ですが、ある職業に就く前や許認可申請をするときだけでなく、職業に就いた後や許可をうけた後にも注意が必要です。
原則として欠格事由に該当した場合は、登録を抹消されたり許可を取り消されたりします。
欠格事由についてはうっかり忘れていることがあるので、ここでは特に刑罰に処せられたケースを確認してみたいと思います。
【欠格事由の例】
具体的に欠格事由とはどうなっているのか確認してみます。紙面の都合もありますので代表的な許認可である建設業法を見てみましょう。
建設業法
第八条 国土交通大臣又は都道府県知事は、許可を受けようとする者が次の各号のいずれか(許可の更新を受けようとする者にあっては、第一号又は第七号から第十一号までのいずれか)に該当するとき、又は許可申請書若しくはその添付書類中に重要な事項について虚偽の記載があり、若しくは重要な事実の記載が欠けているときは、許可をしてはならない。
一 〜 六 略
七 禁錮以上の刑に処せられ、その刑の執行を終わり、又はその刑の執行を受けることがなくなった日から五年を経過しない者
八 〜 十一 略
(許可の取消し)
第二十九条 国土交通大臣又は都道府県知事は、その許可を受けた建設業者が次の各号の一に該当するときは、当該建設業者の許可を取り消さなければならない。
一 略
二 第八条第一号又は第七号から第十一号まで(第十七条において準用する場合を含む。)のいずれかに該当するに至った場合
二の二 〜 六 略
【飲酒運転で許可の取り消し?】
このように禁固以上の刑(禁固と懲役)に処せられてしまうと、その刑の執行を終わり、又はその刑の執行を受けることがなくなった日から5年を経過しないと建設業の許可申請をしても許可になることはなく、許可業者は許可を取り消されることになります。
禁固以上の刑は交通事故や飲酒運転などの交通違反を起こした場合などにも処されることがありますので注意が必要です。
【ここで問題です!】
Aさんは以前交通事故を起こしてしまい、平成22年11月1日に懲役6ヶ月執行猶予1年の判決が出ました。
その後Aさんは刑の執行猶予の言渡しを取り消されることなく期間を経過し、平成23年10月31日に満了しました。
ところでAさんは建設業許可の新規申請をしようと考えていますが、次の建設業法の欠格要件が気になります。
Aさんが欠格要件に該当しなくなるのはいつでしょうか?
@ 平成28年11月1日 A 平成28年 5月1日
B 平成27年11月1日 C 平成23年11月1日
【問題の答えと解説】
上記の設問の答えですがCの平成23年11月1日が正解です。建設業法第8条第7号を読むと、執行猶予を満了した翌日である平成23年11月1日から5年を経過した平成28年11月1日かな?と思ってしまいます。
しかし「刑の執行を受けることがなくなった」とは、刑の時効完成、仮出獄期間中における刑期満了、恩赦の一種としての刑の執行免除など刑の執行の免除を受けた場合のことです。
刑の執行猶予の言渡しを受けた後その言渡しを取り消されることなく猶予期間を経過した者については、刑の執行が免除されるのではなく、有罪の言渡しの効力そのものが消滅するのです。
ですので、その消滅と同時にただちに許可の拒否事由が消えてしまうのです。
【許可業者の場合は?】
上記の設問はAさんがこれから許可申請をしようと思っているケースですが、仮にAさんが既に建設業の許可をとっている場合には、判決の時点で許可の取り消し事由に該当しますので建設業許可を取り消されてしまいます。
飲酒運転などで事業の許可を取り消されることもありますので、当然のことですが飲酒運転はもちろん刑罰に処されるようなことはしないことです。
回答者 行政書士 久々宮典義
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