前々回からスタートしましたGマーク制度ですが、前回と今回は全事業者が遵守しなければならない事項を説明しています。前回に引き続き、実際にどういう点をチェックされるのか確認していきたいと思います。
【社会保険等への加入が適正になされていること 】
前回、 認定の要件として、 「法に基づく許認可申請、 届出、 報告事項が適正になされていること」の要件を説明しましたが、もうひとつ全事業者が遵守しなければならない事項が要件になっています。それは「社会保険等への適正に加入していること」です。
具体的には下記事項を満たしていることが必要です。これらの項目のうち1つでも実施していなければGマークは認定されません。
@ 労災保険、雇用保険に加入しているか?
・労働基準監督署に適用事業所として正しく届出されているか?
・法に定める従業員、パート・アルバイトがもれなく加入しているか?
・雇用保険については、雇用者から所定の保険料が控除されているか?
・保険料を適切に労働基準監督署に納付しているか?
A 健康保険、厚生年金保険に加入しているか?
・健康保険について、年金事務所(協会けんぽ)又は健康保険組合(組合健保)に適用事業
所として正しく届出されているか?
・厚生年金保険について、年金事務所に適用事業所として正しく届出されているか?
・法に定める従業員、パート・アルバイトがもれなく加入しているか?
・雇用者から所定の保険料が控除されているか?
・保険料を適切に年金事務所又は健康保険組合に納付しているか?
【安全性に対する法令の遵守状況の具体的内容】
ここでは「安全性に対する法令の遵守状況」の項目で具体的にどのような点がチェックされるのか、項目とその配点を列記してみます。Gマークに認定されるには32点以上が必要です。
乗務員の休憩・睡眠施設の保守、管理は適正か? | 1点 |
事故記録が適性に記録され、保存されているか? | 1点 |
運転者大腸が適正に記入等され、保存されているか? | 1点 |
車両台帳が整備され、適正に記入等されているか? | 1点 |
運行管理規程が定められているか? | 1点 |
運行管理者に所定の研修を受講させているか? | 1点 |
事業計画に従い、必要な員数の運転者を確保しているか? | 1点 |
過労防止に配慮した勤務時間、乗務時間を定め、これを基に乗務割が作成され、
休憩時間、睡眠時間のための時間が適正に管理されているか? | 3点 |
過積載による運送を行っていないか? | 3点 |
点呼の実施及びその記録、保存は適正か? | 3点 |
乗務等の記録(運転日報)の作成・保存は適正か? | 3点 |
運行記録計による記録及びその保存は適正か? | 1点 |
運行指示書の作成、指示、携行、保存は適正か? | 1点 |
乗務員に対する輸送の安全確保に必要な指導監督を行っているか? | 3点 |
特定の運転者に対して特別な指導を行っているか? | 1点 |
特定の運転者に対して適性診断を受けさせているか? | 2点 |
整備管理規程が定められているか? | 1点 |
整備管理者に所定の研修を受講させているか? | 1点 |
日常点検表を作成し、これに基づき、点検を適正に行っているか? | 1点 |
定期点検基準を作成し、これに基づき、適正に点検・整備を行い、点検整備記録
簿等が保存されているか? | 3点 |
就業規則が制定され、届出されているか? | 1点 |
36協定が締結され、届出されているか? | 1点 |
労働時間、休日労働について違法性はないか?(運転時間を除く) | 1点 |
所要の健康診断を実施し、その記録・保存が適正になされているか? | 1点 |
運輸安全マネジメントを的確に実施し、輸送の安全に関する計画の作成、実行、
評価及び改善の一連の過程を円滑に進められているか? | 3点 |
長々と列記しましたが、上記はGマークの認定申請書に挙証書類を添付するのではなく、巡回指導の時にチェックされます。
なお、これらはGマークで求められるまでもなく、法令で全事業者が実施することが義務付けられているものです。特に改めて求められているものではありません。しかしこれらをきちんと実施できていない事業者が少なからずあるのも事実です。
回答者 特定行政書士 久々宮典義
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