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福岡!企業!元気!のための許認可事業のココロエ 《平成30年5月号》
建設業許可で知っておくべき請負金額

 建設業の許可業者でないと工事を施工してはいけない工事の金額や、特定建設業の許可を取得しておかなければならない工事の種類と請負金額、技術者を工事現場に専任で配置しなければならない請負金額は法令等で定められています。
 勘違いをされている方が許可業者であっても意外と多いので、改めてここで整理しておきたいと思います。

【 建設業許可が必要な工事 】
 簡単に言うと「1件の請負代金が500万円未満」であれば、建設業許可を取得していなくても工事を施工することができます。500万円以上になると建設業許可の取得が必要になります。
 なお、建築一式工事だけは、「1500万円未満または延べ床面積150u未満の木造住宅工事」は許可を取得していなくても工事を施工することができます。
 ・この請負代金には、消費税が含まれます。
 ・材料が注文者から支給される場合はその支給材料費が含まれます。
 ・ひとつの工事を2以上の契約に分割して請け負うときは、原則としてそれぞれの契約の請負代金の合計額になります。
 ・解体工事や電気工事などは、500万円未満であっても他の法律で定められた登録等が必要なものがありますので、注意が必要です。

【 特定建設業と一般建設業 】
 建設業許可の区分は、建設工事の施工に際しての下請契約の金額規模や注文者によって、特定建設業と一般建設業があります。

 特定建設業・・・発注者(施主)さんから直接建設工事を請け負って(いわゆる元請で)、下請に合計4000万円(建築一式では6000万円)以上の工事を出す場合には特定建設業許可が必要です。

 一般建設業・・・上記の特定建設業許可が必要な工事以外は一般建設業許可になります。

 この金額も消費税を含んだ金額であり、2以上の工事を下請に出す場合、この下請金額を合計した金額になります。

 つまり、元請工事であることが前提で、合計4000万円(建築一式は6000万円)以上を下請に出す場合に特定建設業が必要なのです。
 自社が下請(一次下請)の場合、孫請(二次下請)に4000万円(建築一式は6000万円)以上工事を出す場合は、元請ではないのでいくらであっても特定建設業は不要です。
 請け負うことができる金額に制限はありません。特定か一般かの判断は、下請に発注する金額よって決まります。また、工事の規模も関係ありません。例えば10億円の工事を元請として発注者(施主)から直接受注した場合であっても、全部を自社施工したり、下請に出したとしてもその合計が4000万円未満であれば、一般建設業の許可でOKなのです。

【 工事現場に配置する技術者 】
 工事現場には、必ず技術者を配置しなければなりません。
 そのなかでも公共性のある工事(個人の戸建て住宅以外等)は、3500万円以上の工事はその現場に専任で配置しなければなりません。建築一式工事については、7000万円以上になります。
 ここでの金額についても、消費税を含みます。

 なお、この現場に専任で配置しなければならない工事の例外等については、詳細を述べると長くなりますので、ここでは触れないことにします。
 上記の特定建設業の許可が必要な工事については、監理技術者の資格を持っている技術者でないといけません。監理技術者は1級の資格を持っている方で講習を受講することによって取得できます。特定建設業に該当しない一般建設業で施工できる工事については、主任技術者の配置が必要で、1級2級の資格を持っている方以外に実務経験者も含まれます。

  【 おわりに 】
 お客様から問い合わせの多いケースは、一般建設業許可業者さんから「いくらまで受注できますか?」という質問です。上記に取り上げた内容を見ていただけると答えはわかると思います。  その他、事業者さんが理解されていないことが多いのは、現場配置の技術者についてです。専任義務違反をしないように十分注意が必要です。

回答者 特定行政書士 久々宮典義
一般貨物運送業 建設業 建設関連業 産廃収集運搬業 宅建業などの各種許認可申請
くぐみや行政書士事務所  特定行政書士 運行管理者(貨物) 久々宮典義
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