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福岡!企業!元気!のための法律ワンポイント 《平成30年11月号》
NPO法人の定款変更

1.NPO法改正の概要<br> 特定非営利活動促進法(NPO法)の平成28年改正により貸借対照表の公告が義務化されることとなり、NPO法人が前事業年度の貸借対照表を作成後、遅滞なく公告しなければならないことが第28条の2で規定されていたところですが、その施行日を平成30年10月1日とする政令が平成29年12月6日に公布されました。
今回は、我々司法書士が密接に関連する賃借対照表の公告方法及びその登記について紹介させていただこうと思います。
 まずは、平成28年NPO法の改正について見ていきましょう。

一 法人制度に関する事項
1 認証申請の添付書類の縦覧期間の短縮等
 認証申請の添付書類の縦覧期間を現行の2月から1月に短縮するとともに、現行の公告に加えてインターネットによる公表を可能とすること。
2 貸借対照表の公告及びその方法
(1)貸借対照表の公告
 NPO法人は、貸借対照表を公告しなければならないものとすること。
 ※ なお、上記と併せて、NPO法人の登記事項から「資産の総額」を削除する。
(2)公告の方法
 NPO法人は、公告の方法として、次の@〜Cの方法のいずれかを定めることができるものとすること。
 @ 官報に掲載する方法
 A 日刊新聞紙に掲載する方法
 B 電子公告(内閣府ポータルサイトを利用する方法を含む。)
 C 公衆の見やすい場所に掲示する方法
3 内閣府ポータルサイトにおける情報の提供の拡大
 所轄庁及びNPO法人は、内閣府ポータルサイトにおいて、一定の情報の公表に努めるものとすること。
4 事業報告書等の備置期間の延長等
 NPO法人が事業報告書等を事務所に備え置く期間を、現行の「翌々事業年度 の末日までの間」から「作成の日から起算して五年が経過した日を含む事業年度 の末日までの間」に延長するとともに、NPO法人から提出された事業報告書等 を所轄庁において閲覧・謄写できる期間を、現行の「過去三年間」から「過去五年間」に延長すること。
二 認定制度・仮認定制度に関する事項
1 海外への送金又は金銭の持出しに関する書類の事前提出義務に係る規定の見直し
 海外への送金又は金銭の持出しに関する書類の所轄庁への事前提出は、不要とすること。
2 役員報酬規程等の備置期間の延長等
 認定NPO法人が役員報酬規程等を事務所に備え置く期間を、現行の「翌々事業年度の末日までの間」から「作成の日から起算して五年が経過した日を含む事業年度の末日までの間」に延長するとともに、認定NPO法人から提出された役員報酬規程等を所轄庁において閲覧・謄写できる期間を、現行の「過去三年間」から「過去五年間」に延長すること。
3 仮認定NPO法人の名称の変更
 「仮認定」NPO法人の名称を「特例認定」NPO法人に改めること。

そもそもNPO法人は、公開された情報に基づき市民が監視するというNPO法の趣旨にかんがみ、寄付などの資金の使い道を情報公開していくことにより、支援者などへの説明責任を果たすことが求められます。今回のNPO法改正はそのような情報公開のより一層の向上と、手続きの見直しを目的に行われたものです。

2.貸借対照表の公告に関する概要
 今までは、組合等登記令に基づき、法務局において資産の総額の登記を毎年変更することが義務づけられていましたが、その変更登記が不要となるかわりに、毎年貸借対照表の公告を行うことが義務づけられます。これは法人自らが貸借対照表の公告を行うことで、毎年の変更登記申請が不要となり、法人の事務負担軽減のための改正といわれています。

3.既に定款で公告方法を定めている場合、定款変更は必要あるか。
 既に定款で定めた公告方法に変更がない場合は、貸借対照表の公告もその方法で行うこととなります。例えば、定款に「この法人の公告は、この法人の掲示場に掲示するとともに、 官報に掲載して行う。」と規定されている場合は、貸借対照表についても掲示場への掲載と官報掲載が必要となります。 貸借対照表の公告を、現行定款で規定されている方法とは別の方法とすることは可能であり、その場合は定款変更が必要となります。

4.貸借対照表の公告はいつから必要か。また、現在定款で定めている公告方法を変更する場合、いつまでに定款を変更すればいいのか。
 貸借対照表の公告に係る規定(法第28条の2)の施行日は、「公布の日から起算して2年 6か月以内の政令で定める日」(平成 28 年改正法附則第1条第1項第2号)となり、平成 30 年 10 月1日と規定されています(「特定非営利活動促進法の一部を改正する法律の一部の施行期日を定める政令」(平成 29 年政令第 300 号))。よって、NPO 法人は平成30年 10 月1日以後に作成する貸借対照表について公告する必要があります。 ただし、経過措置として、平成 30 年 10 月1日より前に作成した貸借対照表で直近の事業年度のもの(以下、「特定貸借対照表」といいます。)についても、公告する必要があります。この場合、公告のタイミングは、@平成 30 年 10 月1日までに公告する、A 平成 30 年 10 月1日以後遅滞なく公告する、のどちらかを選択することとなります。貸借対照表の公告は、定款で定めた方法により行必要がありますので、現在定款で定めている公告方法を変更する場合は、@もしくはAの特定貸借対照表の公告までに、定款を変更する必要があります。

5.貸借対照表の公告以外にも公告事項があるが、貸借対照表の公告のみを別の方法とすることを定款に記載できるか。
 平成28年改正前の特定非営利活動促進法では、NPO法人は、@債権の申出の催告(法第31条の10)、A清算中の特定非営利活動法人についての破産手続の開始(法第31条の12)、B合併認証後の債権者へ合併に異議があれば期間内に述べるべきこと(法第35条第2項)、において公告することが義務付けられており、@及びAの公告は官報に掲載してすることとされています。
 法第11条第1項第14号では、定款において公告方法を記載しなければいけないと規定されています。今回の法改正で新たに加わった貸借対照表の公告も含めて法人としての公告方法を定款に記載することとなりますが、例えば、「この法人の公告は、この法人の掲示場に掲示するとともに、官報に掲載して行う。ただし、法第28条の2第1項に規定する貸借対照表の公告については、○○県において発行する○○新聞に掲載して行う。」といったように 貸借対照表の公告方法のみを別途規定することは可能です。
 記載例は以下の通りです。

(公告の方法)
 第〇条 この法人の公告は,この法人の掲示板に掲示するとともに,官報に掲載して行う。ただし,法第28条の2第1項に規定する貸借対照表の公告については,〇〇に掲載して行う。
 ※ただし書き部分の条文の記載例については,下記の公告方法別の記載例をご参照ください。
公告の方法別の記載例

公告の方法記載例
官報に掲載する方法ただし,法第28条の2第1項に規定する貸借対照表の公告については,官報に掲載して行う。
日刊紙掲載する方法ただし,法第28条の2第1項に規定する貸借対照表の公告については,〇〇県において発行する〇〇新聞に掲載して行う
電子公告【法人のホームページを選択する場合】ただし,法第28条の2第1項に規定する貸借対照表の公告については,この法人のホームページに掲載して行う。
電子公告 【法人の内閣府NPO法人ポータルサイトを選択する場合】ただし,法第28条の2第1項に規定する貸借対照表の公告については,内閣府NPO法人ポータルサイト(法人入力情報欄)に掲載して行う。
電子公告【自己その他やむを得ない事由によって電子公告による公告をすることができない場合の公告方法を定める場合】ただし,法第28条の2第1項に規定する貸借対照表の公告については,この法人のホームページに掲載して行う。なお,事故その他やむを得ない事由によって電子公告による公告をすることができない場合は,〇〇県において発行する〇〇新聞に掲載して行う。
主たる事務所の公衆の見やすい場所に掲示する方法ただし,法第28条の2第1項に規定する貸借対照表の公告については,この法人の主たる事務所の掲示場に掲示して行う。
6.貸借対照表の公告の方法のうち、「主たる事務所の公衆の見やすい場所に掲示」(法第2条の2第1項第4号、法規第3条の2第2項)とはどのような場所が該当するか。また、マンションや役員の自宅の一室をNPO法人の主たる事務所としている場合はどのような場所に掲示すればいいか。
 法第28条の2第1項第4号には「不特定多数の者が公告すべき内容である情報を認識することができる状態」とあるので、利害関係者のみならず広く市民が当該NPO法人の主たる事務所において、容易に貸借対照表にアクセスできる状態にあることが必要と考えられます。したがって、例えば、法人の主たる事務所の掲示場や入口付近に掲示することが相応しいと考えられます。 ただし、そのマンションや民家の構造、アクセス容易性などを踏まえて判断されるものです。

回答者 司法書士 池田 龍太
ロウル司法書士事務所
代表司法書士  池田 龍太
〒810-0054 福岡市中央区今川1丁目10番45号 エムズビル2F
TEL 092-725-4850 FAX 092-510-7245
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