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弁理士の高松宏行です。今回は商標権についてご説明します。商標権は皆様にとって最も身近な知的財産権といえます。皆様は普段、数えきれないほどの商標を目にし、或いは耳で聞いているはずです。 商標権を取得するためには、特許庁に対して出願手続を行う必要があります。具体的には、所定のフォーマット上に保護を求めるネーミングやロゴ、ネーミング等を付す指定商品・指定役務、等々を明示して特許庁に提出します。産業分野によって一定の幅がありますが、スムーズにいけば出願後6〜10ヶ月で商標権を取得することができます。 商標は主として、自他商品等識別機能、出所表示機能、品質等保証機能、宣伝広告機能を有しています。先ほどの「スーパードライ」を例に挙げてこれらの機能をご説明します。 自他商品等識別機能とは、自社の商品と他社の商品を区別する機能です。お酒が飲める年齢を過ぎた方の多くは、「スーパードライ」といえばアサヒ、「一番搾り」といえばキリン、「モルツ」といえばサントリーのように、商品名から飲料メーカーを特定することができると思います。 出所表示機能とは、商品・役務の製造者(或いは提供者)を明示する機能です。「スーパードライ」が付されたビールは、アサヒ社から出ていることを示します。 品質保証機能とは、その商標が使用された商品・役務は一定の品質を有していることを保証する機能です。需要者は「スーパードライ」、「一番搾り」、「モルツ」等の商品名を介して品質(味)を特定し、ビールを購入します。すなわち、需要者は「スーパードライ」が付されたビールは常に同じ品質(味)であることを期待しており、アサヒ社がそれに応えることで品質が保証されます。この機能はきわめて重要であり、品質が一定に確保されれば商標に化体される信用及びブランド力は蓄積していきます 。個人的には、商標権を取得する最大の理由はこれに尽きると思っています。 最後に宣伝広告機能とは、宣伝広告のために商標が使用されることで、需要者にその商標が付された商品・役務を選択(例えば購入)してもらうことを促す機能です。「スーパードライ」は日本国内で著名なビールですが、販売当初からそうであったわけではありません。アサヒ社は、商標権による保護を受けながら長年に亘って宣伝広告活動を行い、品質を保証し続けることで需要者の信頼を獲得し、ロングセラービールを生んだといえます。
最後になりますが、商標と関係のないビジネスは存在しません。皆様がお勤めの会社や事業所では、必ず何らかの商標を使用しているはずです。ビジネスを展開するうえで、商標権侵害の対策を事前に練っておくことはきわめて重要です。 今月は以上です。 回答者 弁理士 高松 宏行
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