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弁理士の高松宏行です。今回は知的財産業界で有名な特許侵害訴訟事件「切り餅特許事件(平成21年(ワ)第7718号特許権侵害差止等請求事件)」をご紹介します。 きわめて簡潔に説明すると、餅の側面に切り込みを設けたことで特許が付与されました。 従来は加熱途中で突然どこからか内部の膨化した餅が噴き出し(膨れ出し)、焼き網に付着してしまうという課題がありました。この特許発明によれば、切り込みを設けていることで、これまで制御不能だった噴き出し位置を特定することができる等の効果が得られるとの事です。 次に、下記は特許権侵害であると訴えられた餅に係る図面です。 上図の餅にも、側面に切り込みが設けられていることが確認できます。
この事件は、東京地裁、知財高裁で争われた結果、特許権侵害が認められました。 今となっては側面に切り込みが入った餅は広く一般に知られていますが、越後製菓株式会社が特許出願した当時(平成14年)は一般に知られておらず、新規性と進歩性を有する発明であったということになります。 「このような発明が特許になるなんて」と思われる方も多いと思いますが、特許の技術的範囲を規定する「特許請求の範囲(請求項1)」は次のように表現されています。
(特許請求の範囲(請求項1))
今回ご紹介した切り餅特許事件は、東京地裁では原告が負けましたが、その後の知財高裁では判決が覆って原告の勝訴が確定しました。 今月は以上です。 回答者 弁理士 高松 宏行
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