おもしろ知財ツアー

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福岡!企業!元気!のための法律ワンポイント 《令和2年11月号》
おもしろ知財ツアー47

 弁理士の高松宏行です。株式会社ZOZOの元代表取締役として著名な前澤有作氏が商標登録出願をしたというニュースを数か月前に見ました。商標登録出願がなされると、出願後1ヶ月以内に特許情報プラットフォームというデータベース上に登録されます。特許情報プラットフォームはインターネット上にあり、誰もがアクセス可能です。
 特許情報プラットフォーム上に公開されている情報(公開商標公報)の一部をご紹介します。


お金配りおじさん

 この公開商標公報から判ることは、前澤氏は「お金配りおじさん」という言葉を、「事業に関する役務の提供、すなわち資金を必要とする起業家と潜在的な個人投資家とのマッチング」等々のサービス(役務)分野で独占排他的に使用したいという内容の商標登録出願をした、ということです。登録が認められた場合、前澤氏は指定した役務分野で「お金配りおじさん」を独占排他的に使用することができます。
 このように、商標は、権利を取得したい名称(ロゴ、図柄)と、その名称(ロゴ、図柄)を使用したい商品・役務分野との組み合わせになります。
 商品とは菓子や被服等、市場に流通するものを指します。役務とは、飲食物の提供、資金の貸付等、他人のためにする行為を指します。
 前澤氏による「お金配りおじさん」の出願では、第35類、第36類という区分に属する役務を指定して出願されています。
 言い換えると、例えば前澤氏以外の第三者が第30類の商品分野に属するの「菓子」を指定して「お金配りおじさん」を商標登録出願した場合、少なくとも前澤氏が出願した商標に基づいて拒絶されないということになります(異なる理由で拒絶される可能性があります)。
 上記公開商標公報の続きには、出願人である前澤氏の表示と、出願人の住所が表示されています。公開商標公報には出願人の住所も公開されるので、出願人が著名な個人の場合は住所が特定されて困ってしまうケースがあります。そのため、出願人が著名な個人の場合は、その方が所属する会社の住所を記載することがよくあります。前澤氏の住所も某会社内となっています。
 ちなみに前澤氏は「お金配りおじさん」以外にも、「事業つくりおじさん」、「月旅行おじさん」、「贈金」を商標登録出願しているようです。
 上記出願商標の審査結果(登録になるか否か)は、2021年の夏頃に通知されると予想します。

 今月は以上です。

回答者 弁理士 高松 宏行
高松特許事務所
弁理士 高松 宏行
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