おもしろ知財ツアー

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福岡!企業!元気!のための法律ワンポイント 《令和5年9月号》
おもしろ知財ツアー81

弁理士の高松宏行です。今回は意匠権について説明します。意匠権は物品のデザインを保護(模倣を防止)する権利です。保護対象はスマートフォンなどの画面デザイン、建築物、空間デザインにも及びます。
意匠権を取得するためには新規性、類似性、創作非容易性の要件を満たす必要があります。
新規性とは、権利を取得したいデザインが、特許庁への出願日よりも前に公開されていないことを指します。
類似性とは、権利を取得したいデザインと類似するデザインが、特許庁への出願日よりも前に公開されていないことを指します。
創作非容易性とは、権利を取得したいデザインと類似するデザインはないが、公知のデザインに基づいて容易に創作できないことを指します。
意匠権を取得できるか否かは、類似性と創作非容易性の要件をクリアできるか否かによるところが大きいですが、そのハードルは低いといわれています。
下記の出願意匠1は、私が権利化業務を代理した案件です。ペット(猫)用の食器です。

【出願意匠1】

出願意匠1
意匠1を特許庁に出願する前に、既に下記の公知意匠2,3が世の中に公開されていました。いずれもペット用の食器です。

【公知意匠2】

公知意匠2

【公知意匠3】

公知意匠3
いかがでしょうか?物品の構成と見た目が近いと思われる方が多数いらっしゃるかもしれません。実際の審査では、出願意匠1は新規性、類似性、創作非容易性の要件を満たすと判断され、意匠権が付与されました。

公知のデザインに似ていると思われるデザインであっても、権利化できるケースが多々あります。そのような点で、意匠は特許と比べて権利化し易い法分野であると言えます。

 今月は以上です。

回答者 弁理士 高松 宏行
高松特許事務所
弁理士 高松 宏行
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