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福岡!企業!元気!のための法律ワンポイント 《令和8年5月号》
おもしろ知財ツアー113

 弁理士の高松宏行です。起業や法人化の際、法人の「商号(会社名)」を登記したり、個人事業主として「屋号」を届け出たりするのは、いわばビジネスの出生届と言えます。しかし、これらはあくまで行政上の手続きに過ぎず、その名前をビジネスで独占的に使う権利を保証するものではありません。
 今回は、なぜ「商標登録」が経営において重要となるのか、その理由を説明します。
 まず、登記や届け出がカバーする範囲を明確にします。
 法人の「商号」は、同一住所で同一名称の登記を防ぐものですが、隣の市区町村で同じ名前の会社が現れても、登記上は止めることができません。
 個人の「屋号」は、確定申告などのための名称であり、法的な排他性はほぼゼロです。他人が同じ屋号で商売を始めても、それを即座に差し止める強力な武器にはなりません。

 ここで弁理士として強調したいのは、商標権は全国をカバーする絶対的な独占権であるということです。すなわち、皆さんが先にその名前で商売を始めていても、後から現れた他者がその名前を「商標登録」してしまえば、皆さんが「商標権侵害」を指摘される立場に逆転してしまいます。
 商標登録を済ませれば、日本全国を対象として、その名前を同じ業種で独占的に使用できます。WebサイトやSNSで全国・世界に発信する現代のビジネスにおいて、これ以上の安心材料はありません。
 また、模倣者が現れた際、商標権があれば法的根拠を持って即座に使用停止や損害賠償を求めることができます。逆に、登録がない状態で「やめてほしい」と訴えても、交渉は難航を極めます。
 会社名や屋号は、長く続けるほどお客様からの信頼が蓄積されていく「器」です。事業が成長してから「他人の商標だった」と判明した場合、看板の掛け替え、ドメインの変更、パンフレットの刷り直し等で、数百万円単位の損失が出ることも珍しくありません。
 弁理士の視点から言えば、スタート時に商標登録という「鍵」をかけておくことは、保険料よりもはるかに安価でリターンの大きい「先行投資」になります。
 会社名は法人の顔、屋号は個人の誇りです。その大切な資産を、ただの「届け出」だけで留めるのではなく、日本全国で通用する独占排他権として保有されてはいかがでしょうか。
 「この名前、商標として登録できるかな?」と少しでも気になったら、まずは調査から始めましょう。調査方法は色々とコツがありますので、お近くの弁理士に相談されてください。

 今月は以上です。

回答者 弁理士 高松 宏行
高松特許事務所
弁理士 高松 宏行
〒810-0041 福岡県福岡市中央区大名2-4-30 西鉄赤坂ビル7F
電話092-711-1707 FAX 092-711-0946
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