おもしろ知財ツアー

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福岡!企業!元気!のための法律ワンポイント 《令和8年8月号》
おもしろ知財ツアー116

 弁理士の高松宏行です。子どもの頃に「レゴブロック」で遊んだことがある方は多いと思います。ブロックを自由に組み合わせて、家や車、動物など、さまざまなものを作ることができる世界的に有名なおもちゃです。今回は、このレゴブロックと知的財産権について取り上げたいと思います。
 現在のレゴブロックの基本的な形は、1958年に誕生しました。ブロックの上側にある突起と、裏側に設けられた筒状の部分とが組み合わさることで、ブロック同士をしっかり固定できる一方、子どもの力でも簡単に取り外すことができます。
 このようなブロックの結合構造は、世界各国で特許として認められましたが、日本では実用新案権によって保護されていました。
 実用新案権とは、物品の形状、構造又は組合せについての技術的なアイデアを保護する権利です。高度な発明を保護する特許権と似ていますが、日用品などにおける構造上の工夫を保護するのに適した制度です。
 特許権と同様に、実用新案権にも存続期間があります(現行法では実用新案権は出願日から10年。特許権は出願日から20年)。
 権利の存続期間が満了すると、それまで権利者だけが独占していた技術を、原則として第三者も利用できるようになります。すなわち、技術の独占期間が過ぎた後はパブリックドメイン(公知の技術)となるのが知財制度の基本ルールであるため、現在では世界中でレゴと互換性のあるブロックが合法的に製造・販売されています。
 では、特許権という最大の武器を失ったレゴ社は、他社の参入に無防備になってしまったのでしょうか?必ずしもそうではありません。ポイントは、「特許が切れた後、他の知的財産権をいかに組み合わせたか」です。
 レゴ社は、以下のような多角的な知財戦略(ミックス)を展開することでブランドを守っています。
 例えば、ブロック本体の形状を商標登録する挑戦(これは裁判で認められませんでした)だけでなく、独特な人形「ミニフィギュア」の形状について立体商標を取得しました。これにより、互換ブロックを作られても「レゴと同じ見た目の人形」を付属させる行為を差し止めています。
 当然ながら、「LEGO」は日本のみならず世界各国で商標権を取得しています。
 また、基本構造は自由に使われても、新たに開発した特殊な形状のパーツや最新セットのデザインについては、各国で意匠権を取得して模倣を防いでいます。
 さらに、レゴのセット内容や組み立て説明書、パッケージデザインを丸ごとコピーした悪質な海賊版に対しては、著作権侵害などを理由に世界中で厳しい法的措置がとられています。
 LEGOの実例を基に、ビジネスで知財を活用する際の注意点について簡単に述べます。一つの権利(例えば特許)だけに依存していると、権利満了とともに一気に競合の参入を許すリスクがあります。
 ビジネスを展開・防衛する際は、技術(特許・実用新案)、デザイン(意匠)、ブランド(商標)、表現(著作権)といった複数の知財をどのように組み合わせるかという知財戦略が重要になります。つまり、事業の強みを単一の権利だけに依存するのは避けるべき、ということです。
 最後に豆知識を紹介します。
 「LEGO」という名称は、デンマーク語の「LEG GODT」を組み合わせたもので、「よく遊べ」という意味が込められています。

 今月は以上です。

回答者 弁理士 高松 宏行
高松特許事務所
弁理士 高松 宏行
〒810-0041 福岡県福岡市中央区大名2-4-30 西鉄赤坂ビル7F
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