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福岡!企業!元気!のためのワンポイントQ&A 《平成22年12月号》
既卒雇用と奨励金
  質 問

【質問者】
 販売業(従業員48名)経営者

【質問内容】
 当社では、原則として毎年定期的な採用を方針としております。
 そのときの経営状況によって、人数は異なりますが(採用しない年もあります)、多い年で5人、平均的に2人くらいの採用です。
 若い世代を採用し続けなければ、平均年齢がどんどん高齢化してしまうので、これを避けたいと考えてのことです。
 最近は、新卒を採用しても2年以内に退職してしまうケースが多く、平均年齢問題のほかに、投資効果の問題で悩んでいます。
 そのような中、最近新卒等を雇用したときの助成金制度が拡充されたと聞きました。

 よければ、概要等を教えて下さい。

  回 答

【トライアル雇用奨励金】
 以前から存続している奨励金制度として、試行雇用(トライアル雇用)奨励金制度があります。
 「試行」雇用とは、公共職業安定所の紹介により3カ月間の有期雇用契約を締結し、3カ月間「お試し」で雇用します。
 この期間3カ月間について、月額4万円(3カ月間で最大12万円)を助成する制度が、試行雇用奨励金制度です。
 新卒者は、基本的に対象となります。
 対象者は、40歳未満の若年者等です。
 助成金額は大きくありませんが、3カ月お試し雇用の結果、雇用期間満了で終了することができる点でメリットはあります。
 奨励金申請手続きも比較的簡単です。

【若年者等正規雇用化特別奨励金】
 この奨励金は、平成24年3月までの期間限定の制度です。
 新卒者採用とは少し離れますが、「満25歳以上40歳未満」の年長フリーター等を公共職業安定所紹介で雇用した場合に助成する制度です。
 「年長フリーター等」とは、雇用前1年間に雇用保険被保険者になったことが無い者とされています。
 したがって、少し浪人や留年があった場合や、新卒後少し経過しているような方で25歳以上になっていれば、対象となる可能性があります。
 この奨励金は、公共職業安定所の紹介でいきなり正規雇用しても対象となりますが、  実は既に紹介したトライアル雇用を経て正規雇用した場合も対象となります。
 いきなり正規雇用するリスクを考えると、トライアル雇用活用型の方がリスクが軽減できる点で良いといえます。
 奨励金額は、中小企業の場合で@正規雇用6カ月経過後に50万円、A正規雇用1年6カ月経過後に25万円、B正規雇用2年6カ月経過後に25万円、合計100万円です。

【3年以内既卒者(新卒扱い)雇用拡大奨励金】
 今年の秋にスタートしたばかりの新目玉制度で、平成24年3月までの期間限定です。
 卒業後3年以内の既卒者で、1年以上雇用された経験のない者を公共職業安定所紹介で正規雇用した場合、6カ月経過後に100万円を支給する、という制度です。
 6カ月後の100万円だから、かなり大きな奨励金といえます。
 貴社の場合、新卒にこだわらなければ、狙える制度といえるでしょう。

【3年以内既卒者トライアル雇用奨励金】
 こちらも3年以内既卒者(新卒扱い)雇用拡大奨励金と同時にスタートしたばかりの新しい制度で、平成24年3月までの期間限定です。
 この制度は、既に紹介したトライアル雇用奨励金と同じような要領で卒業後3年以内の既卒者を3カ月間「お試し」雇用できる制度で、お試し雇用の結果、3カ月で終了しても奨励金支給の対象となります。
 しかも月4万円でなく、月10万円です。
 つまり、3カ月間で30万円となります。
 さらに3カ月経過後に、正規雇用に移行すれば、そこから3カ月後に50万円支給されます。
 トータル80万円です。
 最初から正規雇用すれば6カ月後に100万円ですが、全く仕事ができない者を採用してしまう可能性もあり、リスクを伴います。
 その点、3カ月間のお試し雇用期間に考課が可能な点、こちらの制度の方がリスクを軽減できる点が大きなメリットです。

回答者  特定社会保険労務士 安藤 政明

人事労務全般、就業規則・諸規程、監督署調査、労働紛争、社会保険、労災、給与計算、契約書
安藤社会保険労務士事務所
特定社会保険労務士・行政書士・一級FP技能士/CFP 安藤 政明
特定社会保険労務士・第二種衛生管理者 箭川 亜紀子
810-0041福岡市中央区大名2-10-3-シャンボール大名C1001
TEL 092-738-0808/FAX 092-738-0888/
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