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【大原則】
従業員とは、「労働契約」を締結しています。その労働契約によって、出勤すべき日(=所定労働日)と休みの日(=所定休日)が定められます。そして労働契約によって、労働者は所定労働日における「労働義務」が生じます。労働義務のある日(=所定労働日)に正当な理由なく労働しなければ、それは労働契約違反です。
また、労働契約によって事業所には「賃金支払義務」が生じます。厳密にいえば、労働者による「労働」を受領してはじめて賃金支払義務が生じるのであって、労働者が労働しなければ賃金支払義務は生じません。このことを、「ノーワークノーペイの原則」といいます。
【「休み」について】
既出の「所定休日」とは、労働契約によって定められた「労働義務がない日」です。
最初から労働義務がないので、この日に休暇を取得することはできません。休暇が取得できる日は、「所定労働日」に限られます。「休日」と「休暇」の相違点です。
「所定労働日」に労働しないことは「欠勤」であり、労働契約違反です。無断欠勤をはじめ、正当な理由のない欠勤は懲戒処分の対象となり得ます。しかし、法定又は事業所が定める休暇制度を利用して「休暇」を取得した場合は、欠勤扱い(=労働契約違反)にはなりません。休暇取得と欠勤との大きな大きな相違点がここにあります。
【有給と無給】
既述のとおり、労働法の大原則は「ノーワークノーペイの原則」です。実際に労働した日に限って給与支給対象であり、休暇取得日や欠勤した日には給与は支給されないのが原則です。休暇と欠勤との相違点は、休暇制度に基づく休みに対し、欠勤は労働契約違反であることです。
法律上、ノーワークノーペイの原則の例外となる唯一の休暇制度が、年次有給休暇(以下、「年休」)です。年休取得日に限り、法律で給与支払義務が課せられています。
言い替えると、その他の休暇制度は、子の看護等休暇、介護休暇、生理休暇、裁判員休暇等の法定休暇であっても、賃金支払い義務はありません。法定外休暇である慶弔休暇についても、当然賃金支払い義務はありません。年休を除きすべてノーワークノーペイの原則に従います。以上のとおり、貴社の慶弔休暇を無給とする取扱いは、法律上何ら問題はありません。
【運用】
法律上は以上のとおりですが、運用においては各事業所の裁量により法律を上回る取扱いをすることは任意です。実際、慶弔休暇を有給休暇として取り扱う事業所は少なくありません。「鬼の形相」でクレームを付けられたから有給休暇扱いに変更すると、こちらが間違っていたようでイヤですね。検討されるなら、次回以降を対象とすべきでしょう。法律上義務のない有給休暇を創設する際に注意しておきたいことは、「二度と後戻りできない」という覚悟が必要だということです。無給から有給への変更はいつでも自由にできますが、有給から無給への変更はいわゆる不利益変更にあたるため、そう簡単にはいきません。慎重にご検討ください。
回答者 特定社会保険労務士 安藤 政明
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