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【労働契約】
貴社と従業員とは、「労働契約」による契約関係です。その労働契約の基本的な中身として、従業員には労働義務が、貴社には労働に対する賃金支払い義務が課されます。その「労働義務」には、所定労働日、即ち出勤しなければならない日には、出勤して労働する義務が含まれます。
出勤して労働する義務がある日について、その義務が免除されることがあります。年次有給休暇やその他の休暇制度です。休暇を取得することにより、所定労働日でも労働義務がなくなるわけです。では、所定労働日に、休暇を取得するわけでもなく、体調不良等の本人の都合により休むことは、どういうことになるのでしょう。結論をいってしまえば、労働契約違反にあたります。休暇と欠勤の大きな相違点です。
ここから先が問題です。契約違反に至った理由です。正当な理由がなければ、ただの違反行為だから当然に注意指導しなければなりませんし、状況によっては懲戒処分等のペナルティを科すこともできます。逆に正当な理由があれば、本来出勤すべき日に欠勤したとしても、お考えのとおり注意しようがありませんし、ペナルティを科すこともできません。
【本当に正当な理由なのか】
ところで周囲の従業員さんが不満を抱いている理由は、本人が「当然のような顔」をしているからだけでしょうか。もしかしたら、「頭が痛い」、「お腹が痛い」の程度が欠勤するほどのものではないと感じているかもしれません。またもしかしたら、仮病を疑っているのかもしれません。
多い月は10 日くらい休んでいるわけですから、所定労働日の半分くらいですよね。周囲の従業員から「注意」という言葉を用いてクレームがあったようですが、その奥にある真意は「本当に病気していることを確認しているのか」なのかもしれません。
【診断書提出】
就業規則で、「○日連続欠勤」で「診断書提出」のような規定をよく見かけます。まずはこのような規定の確認と、該当するときは確実に診断書を提出させるべきでしょう。該当しない場合であっても、体調不良で頻繁に欠勤するようであれば、健康配慮義務の観点から通常の就業に支障がないか確認する目的で、診断書の提出を命じるべきでしょう。
【運用】
「頭が痛い」と言えば、大して痛くなくても休めると考えている可能性があります。その理由は、貴社が「無条件」で契約違反に正当な理由があると認めるからです。何らかの手続が必要であれば、その手続ができない場合や面倒な場合は、休む可能性が減るのではないでしょうか。
たとえば、「頭が痛い」等を理由として欠勤するときは、必ず医師の診察を受けて診察券、診療報酬明細書、薬袋等の何でも構わないので病院に行ったことの証明を求めることも考えられます。周囲の従業員が不満に感じることや、本人が安易に欠勤することの大きな原因は、貴社が何ら証明もない口頭申出だけで何度も繰り返し安易に欠勤を黙認していることにあるかもしれません。
回答者 特定社会保険労務士 安藤 政明
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