|
【内定取消事由】
貴社の内定取消事由の詳細はわかりませんが、ご質問文から「予定どおり卒業できなかったとき」と「内定時に知り得なかった重大な問題があるとき」が含まれます。
内定取消は、労働契約正式成立後の解雇と同様の意味を持ちます。そのため取消事由にあたるかどうかの判断及びあたる場合の対応は、慎重に行う必要があります。
卒業できなかった人については、明確な内定取消事由にあたります。しかし内定を取り消さず入社させています。内定契約に明示された内定取消事由に該当しても入社を認めるという「実績」を作ってしまったことになります。このことは、公平性の原則等から、今回及び今後の他の内定取消に際して、貴社を不利に導びく可能性が高いといえます。いわゆる「悪しき先例」をつくってしまったわけです。
内定を取り消した者については、確かに内定取消事由にあたるように感じられますが、裁判所がそう判断するかどうかは別問題です。体調不良を理由として研修を休んだことは、特に診断書等を求めてもいませんし、「重大な問題」にあたりません。
折返し連絡がなかったことだけで判断することになります。3 月下旬研修・内定取消通知3 月末までの到達タイミングでしょうから、折返し連絡がなかった期間は1 週間もないと思われます。貴社から何度連絡したか不明ですが、入社前であり無断欠勤には該当しません。内定取消が「入社直前」という事実も良いイメージではありません。
客観的には、分が悪いと感じるところです。さらには、他の同期に対しては内定取消事由に該当しても取り消さないという実績まであります。かなり不利だと考えます。
【経営判断】
弁護士からの通知に対し、主張を貫くという経営判断について、全面的には否定いたしません。経営責任を負う者による選択肢の一つです。ただ今回は、貴社の弁護士から相手方弁護士に連絡を入れ、和解できないか模索することをお奨めします。仮に裁判になれば、弁護士費用だけで数十万円はかかりますし、時間や労力もかかります。最終的に敗訴すれば最悪バックペイまで含めて莫大な経済的損害を被る可能性もあります。手切れ金として諦められる範囲で和解できれば、それが一番早いですし、総合的に考えてよい選択だと考えます。又は、いっそ入社させてみるという少しリスクのある選択肢も考えられます。この選択肢は、「多分出勤しないだろう」という「読み」に賭けるような感じですが。
一方で、卒業できなかった者については、念のため遡って内定を取消し、その上で別途個別労働条件を定めて労働契約を最初からやり直すことをお奨めします。もちろん、既に入社させてしまってますから、本人の合意が必要となります。
回答者 特定社会保険労務士 安藤 政明
|