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福岡!企業!元気!のためのワンポイントQ&A 《令和8年5月号》
内定取消事由に該当する者と該当しない者
  質 問

【質問者】
製造業(正社員150 名、パート20 名)

【質問内容】
 当社は、製造業を営む株式会社です。今年の新卒について、3 名に対し内定を出 していました。しかし、4 月入社直前に2 名について困った事態が生じました。 1 名は、入社直前研修前に単位不足で卒業できないことが判明したケースです。 内定取消事由にあたります。悩んだのですが、どうしても若手を採用したいという強 い思いもあります。不足する単位取得のために便宜をはかる条件で、そのまま内定を 取り消さず入社してもらうことにしました。 もう1 名が問題です。入社直前研修(3 月下旬3 日間)を行ったところ初日から 勤務態度が悪かったため、少し注意しました。すると残りの2 日間を体調不良を理由 として休むと電話連絡を入れてきました(当社受付事務が受けました。)。会社から 電話をしても出ませんし、折返し連絡もありません。内定取消事由として、内定時に 知り得なかった重大な問題があるときは内定を取り消せます。その旨を記載して内容 証明郵便で内定取消通知を送りました。 4 月10 日を過ぎてから、弁護士から内容証明郵便が届きました。内定取消が違法 ・無効であり、4 月1 日から従業員であることを確認することと、違法な通知に関し て慰藉料100 万円を支払えという内容でした。とんでもない話です。電話しても応じ ず、折返しもしなかったのは本人です。裁判になっても構わないのでこちらの主張を 貫こうと考えていますが、このような方針で良いでしょうか。

  回 答

【内定取消事由】
 貴社の内定取消事由の詳細はわかりませんが、ご質問文から「予定どおり卒業できなかったとき」と「内定時に知り得なかった重大な問題があるとき」が含まれます。
 内定取消は、労働契約正式成立後の解雇と同様の意味を持ちます。そのため取消事由にあたるかどうかの判断及びあたる場合の対応は、慎重に行う必要があります。
 卒業できなかった人については、明確な内定取消事由にあたります。しかし内定を取り消さず入社させています。内定契約に明示された内定取消事由に該当しても入社を認めるという「実績」を作ってしまったことになります。このことは、公平性の原則等から、今回及び今後の他の内定取消に際して、貴社を不利に導びく可能性が高いといえます。いわゆる「悪しき先例」をつくってしまったわけです。
 内定を取り消した者については、確かに内定取消事由にあたるように感じられますが、裁判所がそう判断するかどうかは別問題です。体調不良を理由として研修を休んだことは、特に診断書等を求めてもいませんし、「重大な問題」にあたりません。
 折返し連絡がなかったことだけで判断することになります。3 月下旬研修・内定取消通知3 月末までの到達タイミングでしょうから、折返し連絡がなかった期間は1 週間もないと思われます。貴社から何度連絡したか不明ですが、入社前であり無断欠勤には該当しません。内定取消が「入社直前」という事実も良いイメージではありません。
 客観的には、分が悪いと感じるところです。さらには、他の同期に対しては内定取消事由に該当しても取り消さないという実績まであります。かなり不利だと考えます。

【経営判断】
 弁護士からの通知に対し、主張を貫くという経営判断について、全面的には否定いたしません。経営責任を負う者による選択肢の一つです。ただ今回は、貴社の弁護士から相手方弁護士に連絡を入れ、和解できないか模索することをお奨めします。仮に裁判になれば、弁護士費用だけで数十万円はかかりますし、時間や労力もかかります。最終的に敗訴すれば最悪バックペイまで含めて莫大な経済的損害を被る可能性もあります。手切れ金として諦められる範囲で和解できれば、それが一番早いですし、総合的に考えてよい選択だと考えます。又は、いっそ入社させてみるという少しリスクのある選択肢も考えられます。この選択肢は、「多分出勤しないだろう」という「読み」に賭けるような感じですが。
 一方で、卒業できなかった者については、念のため遡って内定を取消し、その上で別途個別労働条件を定めて労働契約を最初からやり直すことをお奨めします。もちろん、既に入社させてしまってますから、本人の合意が必要となります。

回答者  特定社会保険労務士 安藤 政明

人事労務全般、就業規則・諸規程、監督署調査、労働紛争、社会保険、労災、給与計算、契約書
安藤社会保険労務士事務所
特定社会保険労務士・行政書士・一級FP技能士/CFP 安藤 政明
特定社会保険労務士・第二種衛生管理者 箭川 亜紀子
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TEL 092-738-0808/FAX 092-738-0888/
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