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福岡!企業!元気!のためのワンポイントQ&A 《令和8年10月号》
採用直後から欠勤を繰り返す者への解雇対応
  質 問

【質問者】
不動産業(正社員30 名、パート5 名)

【質問内容】
 当社は、不動産業を営む株式会社です。今年採用したばかりの試用期間中の正社員が、体調不良による欠勤を繰り返して困っています。
 入社して1 カ月半くらいですが、この期間の所定労働日30 日のうち、断続的に13日も休んでいます。具体的には、最初の2 週間は欠勤3 日、次の2 週間は欠勤4 日、そして次の2 週間は欠勤6 日で、どんどん欠勤率が増えてきています。欠勤理由は、常に「体調不良のため」です。事前に電話連絡はしてくるのですが、2 日続けて休むときの2 日目の連絡はありません。
 仕事を覚えること等については、特に劣っているとまでは言えません。出勤時の勤務態度が特に悪いとも言えません。しかし、欠勤が多いことで予定が狂うため、指導役の先輩社員が強く不満のようです。所属長に「もう勘弁して下さい」と言ってきたとのことです。所属長からは、「試用期間中だから、クビにできませんか」と話しがありました。ちなみに試用期間は3 カ月です。
 所属長にこれまでの詳細を確認したところ、病院に行ったことの確認等はしていないようです。出勤しているときは、特に体調に問題があるようには感じられないとのことです。そのため、朝起きたときの気分で欠勤しているのではないかと疑っているようでした。  このような状況ですが、試用期間中に解雇してもよいものでしょうか。

  回 答

【試用期間中の解雇】
 試用期間中であっても、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当と認められない解雇は、無効とされます。言い替えますと、客観的に合理的な理由があり、社会通念上相当と認められる解雇であれば、有効です。
 試用期間中は、本採用後と比較すると、一定程度解雇が認められやすい期間とされています。但し、あくまでも「一定程度」であって、大幅に認められやすいというわけではありません。この「一定程度」についても、明確な基準があるわけではないので、個々の事案毎に慎重な対応が必要となります。

【欠勤】
 雇用契約は、労働者の立場では所定労働日について所定労働時間を労働するという契約です。欠勤することは、まさしく契約違反にあたります。原則は契約違反ですが、欠勤することに「正当な理由」が認められれば、違反に対する責任を免じられることになります。
 貴社の場合、「体調不良」という連絡を受け、これを認めているようです。ということは、客観的には「正当な理由」として認めているように見えてしまいます。残る問題は、「試用期間中であるにもかかわらず欠勤が多い」という点です。

【本人への通知】
 試用期間中であっても、入社14 日を過ぎれば解雇予告(30 日前予告、又は30 日分以上の予告手当支払)が必要とされます。試用期間3 カ月なので、入社2 カ月満了前に解雇通知をしておきたいところです。もうあまり時間がありません。
 欠勤が多くても、本採用せず解雇することについてあらかじめ通知することなく解雇すれば、裁判所はなかなか解雇を有効と認めません。まずは、すぐにでも本人に対し、「今後も欠勤するようであれば、試用期間で雇用契約を打ち切る」ことを通知してください。それでも欠勤を繰り返すのなら、2 カ月満了時点で解雇通知してください。
 一方で、これだけ体調不良による欠勤が多いわけですから、「本当に働かせて良いのか」という安全配慮上の問題もあります。就業可能であることを証明する医師による診断書の提出を求めるべきでしょう。これまで求めていなかったわけですから、「次回欠勤したとき」という条件が妥当だと思われます。本人が診断書提出を嫌い、一気に真面目に出勤するようになる可能性も考えられます。今更真面目に出勤しても解雇方針は変わらないのであれば、次回欠勤を待たず診断書提出を命じることも選択肢の一つかもしれません。
 貴社方針として既に「退職させること」が確定しているのであれば、試用期間満了を待たずに退職勧奨することも考えられます。仮に退職勧奨する場合でも、その前に「欠勤が多いので試用期間満了後の本採用は難しい状態」という通知をしておくべきです。理由は主に二つで、�@通知により自己都合退職する可能性があること、�A退職勧奨しても応じない可能性があること(退職勧奨拒否後に試用期間満了解雇を通知すると、「拒否に対する報復」と主張される可能性も考えられる)です。
 相手が「人間」なので、あらゆる可能性を視野にご検討ください。

回答者  特定社会保険労務士 安藤 政明

人事労務全般、就業規則・諸規程、監督署調査、労働紛争、社会保険、労災、給与計算、契約書
安藤社会保険労務士事務所
特定社会保険労務士・行政書士・一級FP技能士/CFP 安藤 政明
特定社会保険労務士・第二種衛生管理者 箭川 亜紀子
810-0041福岡市中央区大名2-10-3-シャンボール大名C1001
TEL 092-738-0808/FAX 092-738-0888/
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