平成18年5月に会社法が施行されたことにより、有限会社は株式会社に一本化されました。
そのため、新しく有限会社を設立することはできません。
会社法施行前から存在する有限会社は、そのまま有限会社として存続するか、株式会社に変更するかを選択することが可能です。
また、御社の設立された平成10年当時は、有限会社は資本金300万円、株式会社は資本金1000万円が最低でも必要(最低資本金制度)でしたが、現在はそのような規定もありません。
定款変更決議をし、法務局に登記を申請するなど、一定の手続きを踏むことで有限会社から株式会社へ移行でき、資本金を増やしたり、役員を追加したりする必要もありません。
では、有限会社から株式会社へ移行した際に考えられるメリットをいくつか挙げてみます。
【メリット】
1 イメージ的に、有限会社よりも株式会社のほうが良いと考えている方も多くいらっしゃいます。
ただ名前が変わっただけで実際のところは中身がどうなのかが重要なのですが、イメージを大切にされる方にとってはメリットといえます。
2 機関設計を柔軟にすることが可能となります。
有限会社では、取締役、代表取締役、株主総会、監査役のみが機関として存在しておりましたが、株式会社となることで、取締役会を置いて、経営の迅速化・経営者の権限強化を図ったり、会計参与を置いて、体外的に計算書類の正確性をアピールすることが可能です。
そのことで、融資の話を進めやすくなることも期待できます。
その他、細々としたメリットについては割愛させていただき、次に株式会社に移行することによるデメリットを挙げてみます。
【デメリット】
1 有限会社では、役員の任期がなかったのに対し、株式会社においては原則2年、最長10年(一定の要件のもと定款で定めた場合)の任期があり、役員任期の更新の都度、手続きをする必要があります。
また、うっかり手続きを忘れたために裁判所から過料通知が届く可能性もあります。
2 有限会社のときにはなかった決算公告義務があります。
法律上、毎年の決算公告をしなければならなくなります。
これを怠ると法律上は罰則規定が設けられております。
実際には、それほど厳しく処罰されているわけではありませんが、いつ運用が厳しくなるか分かりませんので、注意しておく必要があります。
回答者 司法書士 安藤 功
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