司法書士のつぶやき

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福岡!企業!元気!のための知っておきたい会社の法律知識 《平成25年2月号》
種類株式について

 みなさん、こんにちは。司法書士の安藤です。
今回からはこれまでのQ&A形式を変えて、情報発信して参りたいと考えております。宜しくお願い致します。
 さて、前回、少数株主のお話の中で、全部取得条項付種類株式の活用について触れさせていただきました。そこで、そもそも種類株式とは何なのか、どのように使うのかなどを、これから数回にわたり、説明させていただきたいと考えております。

 平成18年5月に商法から会社法へと会社に関しての法律が大きく変更になりました。その大きな改正点の一つとして、種類株式に関する規定の改正があります。会社法は、各株式の権利の内容は同一であることを原則としつつ、その例外として、一定の範囲と条件のもとで、権利の内容の異なる種類の株式の発行を認めています。その内容とは、

(1)剰余金の配当
(2)残余財産の分配
(3)株主総会において議決権を行使できる事項(議決権制限株式)
(4)譲渡制限
(5)株主から会社への取得請求権(取得請求権付株式)
(6)会社による取得(取得条項付株式)
(7)株主総会決議に基づく全部取得(全部取得条項付種類株式)
(8)定款に基づく種類株主総会の承認(拒否権付株式)
(9)種類株主総会における取締役又は監査役の選任(取締役等選解任権付株式)

 の9種類であり、これら以外の事項について、内容の異なる株式を発行することはできません。上記の株式を「種類株式」と呼びます。実は、以前の商法においても、種類株式は存在しましたが、種類株式として発行できる株式の内容が厳格に制限されており、実務においては、使い勝手が非常に悪かったため、ほとんど利用されておりませんでした。 そこで、会社法になる段階で、種類株式に関する規制を緩和し、種類株式として発行できる株式の内容を大幅に拡張することで、種類株式制度の利用を促進することになりました。
 このような改正を踏まえ、近年で上場会社、非上場会社を問わず、多様な株式の発行への需要が高まったこともあり、種類株式の利用は増大しております。 次回以降は、上記9種類の株式について、実際にどのように使われているのか、どのようなメリットがあるのか等、具体的な内容に踏み込んで説明していきます。

回答者  司法書士 安藤 功
会社設立・役員変更・増資・組織再編・事業承継等に関する各種登記手続き
安藤功司法書士事務所
司法書士 安藤 功
〒810-0042 福岡市中央区大名2-4-22新日本ビル5階
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