司法書士のつぶやき

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福岡!企業!元気!のための知っておきたい会社の法律知識 《平成27年4月号》
日本居住の代表者がいなくても法人登記可能に

 みなさん、こんにちは。司法書士の安藤です。
前回は株式会社の設立の登記又は役員(取締役,監査役等)の就任(再任を除く)の登記を申請するときにおける本人確認証明書の添付についてと、代表取締役等(印鑑提出者)の辞任の登記を申請するときには,辞任届に,当該代表取締役の実印の押印(市区町村長作成の印鑑証明書添付)又は登記所届出印の押印が必要となった改正点について記載いたしました。今回も法人登記における運用の変更がありましたので、その点について記載いたします。今まで外資系企業が日本に子会社を作ったり支店登記をする際には代表者のうち1名以上が日本在住者である必要があり、これが結構日本進出の足かせになっていました。

平成27年3月16日、以下のような通達がなされました。

昭和59年9月26日民四第4974号民事局第四課長回答及び昭和60年3月11日民四第1480号民事局第四課長回答の取扱いを廃止し,本日以降,代表取締役の全員が日本に住所を有しない内国株式会社の設立の登記及びその代表取締役の重任若しくは就任の登記について,申請を受理する取扱いとします。

では、昭和59年9月26日民四第4974号民事局第四課長回答と昭和60年3月11日民四第1480号民事局第四課長回答とはどのようなものだったのでしょうか。

【昭和59年9月26日民四第4974号民事局第四課長回答、昭和60年3月11日民四第1480号民事局第四課長回答】
「日本において設立された会社(内国会社)については,日本国内に住所を有しない者であっても代表者に就任することは可能ですが、代表者の住所地は民事訴訟法上普通裁判籍の一つとされているところであり、また、会社法による会社の解散命令、取締役の会社に対する損害賠償責任、第三者に対する損害賠償責任、法令違反に係る刑罰・過料の制裁等の規定の実効性を確保し、日本国内の取引相手や消費者等の利益を保護するためには、少なくとも代表者の一人は日本国内に住所を有することが必要です。昭和59年9月26日付け法務省民四第4974号民事局第四課長回答は、これらの要請を受けて、「内国株式会社の代表者のうち少なくとも1名は日本に住所を有しなければ、当該設立の登記の申請は受理できない」とされていました。昭和60年3月11日民四第1480号民事局第四課長回答についても、やはり同様の結論に至っております。

【平成27年3月16日通達】
平成27年3月16日から法務省の通達でこの運用が代わり、代表取締役の全員が日本に住所を有しない株式会社の設立・重任登記・就任登記が可能となりました。これまでの取り扱いが一転し、実務においては、海外から日本にビジネスを持ち込む方にとって大きなチャンスとなるのかもしれません。

回答者  司法書士 安藤 功
会社設立・役員変更・増資・組織再編・事業承継等に関する各種登記手続き
安藤功司法書士事務所
司法書士 安藤 功
〒810-0042 福岡市中央区大名2-4-22新日本ビル5階
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