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土地家屋調査士の仕事って?
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双方の同意によって境界を動かすことができるか?2 |
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【はじめに】 判例ベースで考えてみましょう。 最高裁判所第三小法廷昭和42・12・26判決 原判決が本件各所有権確認請求を審理するにあたり、前提として本件各土地の境界を確定しているが、境界確定については、上告人と被上告人らの間に合意が成立したことにのみ依拠していることは明らかである。しかし、相隣者間において境界を定めた事実があっても、これによって、その一筆の土地の境界自体は変動しないものというべきである。したがって右合意の事実を境界確定のための一資料とすることは、もとより差し支えないが、これのみにより確定することは、許されないものというべきである。 と、なっており単純な隣地土地所有者と合意して境界を決めることはできない、所有者合意は境界とはなりえないと、判例は示しております。確かに不動産の境界をそれぞれの所有者間で決めてしまえることができたら、恐ろしいですね。そんな土地は取引できません。きちんとした手続きを得て境界を確認することが大事です。 ちなみもともとの境界のことを"原始筆界"といいます。 次に、 東京高裁裁判所昭和61・12・22判決 前段省略 土地の境界につきかかる誤解に基づきされた所有土地の範囲に関する合意は、要素に錯誤があるものとして無効である、と判示している。しかしながら、土地の境界を合意し又は土地の境界を基準として所有土地の範囲を合意した場合においても右の合意は所有土地の範囲のみ定めるものであって、境界自体を設定変更する効力はないのである。 後段省略 上記は所有者間での合意はいいのですが、境界は変えられません、といった判決で、この場合もやはり境界の変更はできないものとしています。 合意ではなく、登記法などに基づいた手続きが必要ということです。 今月は以上です。 回答者 土地家屋調査士 福田 憲太郎
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