前回に引き続き,役員の定期同額給与についてです。
役員に対する給与が「定期同額給与」として損金算入されるためには,原則として,その支給時期が1か月以下の一定の期間ごとである給与で,その事業年度の期首から期末までの各支給時期における支給額が同額である必要があります。
しかし,期中改定であっても,所定の場合には損金算入される場合があります。
それは,下記の@からBに掲げる給与改定がされた場合で,次の期間の各支給時期における支給額が同額であるときには,それぞれの期間に係る定期給与が定期同額給与に該当することとなります(定期同額給与かどうかの判定は,次のそれぞれの期間ごとに行います)。
(1) 当該事業年度開始の日から給与改定後の最初の支給時期の前日までの間
(2) 給与改定前の最後の支給時期の翌日から当該事業年度終了の日までの間
(3) 給与改定前の最後の支給時期の翌日から給与改定後の最初の支給時期の前日までの間
(4) 当該事業年度開始の日から当該事業年度終了の日までの間
【定期同額給与となる改定事由】
@ 3か月等以内の通常改定
A 臨時改定事由による改定
B 業績悪化改定事由による改定
上記@からBに掲げる改定事由の内容については,次回以降に取り上げます。
今回は,上記の”いつからいつまで”という部分についてです。
【定期同額給与の範囲】(法令69@)
法第34条第1項第1号(役員給与の損金不算入)に規定する政令で定める給与は,次に掲げる給与とする。
一 法第34条第1項第1号に規定する定期給与(以下この条において「定期給与」という。)で,次に掲げる改定(以下この号において「給与改定」という。)がされた場合における当該事業年度開始の日又は給与改定前の最後の支給時期の翌日から給与改定後の最初の支給時期の前日又は当該事業年度終了の日までの間の各支給時期における支給額が同額であるもの。
二 省略
〔設例〕
・事業年度: ×1年4月1日〜×2年3月31日
・役員報酬の支給日: 毎月25日
・改定を決議した日: ×1年5月27日(定期同額給与となる給与改定)
(1) 当該事業年度開始の日から給与改定後の最初の支給時期の前日までの間の各支給時期
給与改定後の最初の支給時期の前日は,設例の場合6月24日ですので,当該事業年度開始の日から給与改定後の最初の支給時期の前日までの間の各支給時期とは,この場合,4月25日と5月25日となります。
(2) 給与改定前の最後の支給時期の翌日から当該事業年度終了の日までの間の各支給時期
給与改定前の最後の支給時期の翌日は,設例の場合5月26日ですので,給与改定前の最後の支給時期の翌日から当該事業年度終了の日までの間の各支給時期とは,この場合,6月25日,7月25日,8月25日,9月25日,10月25日,11月25日,12月25日,1月25日,2月25日,3月25日となります。
よって,設例の場合,
@ 4月25日と5月25日の各支給時期における支給額が同額である場合には,定期同額給与に該当します。
A 6月25日から3月25日までの各支給時期における支給額が同額である場合には,定期同額給与に該当します。
回答者 税理士 鵜池 隆充
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