税金ワンポイント

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福岡!企業!元気!のための税金ワンポイント 《平成24年2月号》
無利息又は通常の利率よりも低い利率で貸し付けた場合

  法人が無利息又は通常の利率よりも低い利率で金銭の貸付けを行った場合には,税務上,問題が発生する場合があります。

T 債務の免除による利益その他の経済的な利益(法基通9-2-9)

 法人税法第34条第4項≪役員給与≫及び法人税法第36条≪過大な使用人給与の損金不算入≫に規定する「債務の免除による利益その他の経済的な利益」とは,次に掲げるもののように,法人がこれらの行為をしたことにより実質的にその役員等(役員及び同条に規定する特殊の関係のある使用人をいう。
 以下9-2-10までにおいて同じ。)に対して給与を支給したと同様の経済的効果をもたらすもの(明らかに株主等の地位に基づいて取得したと認められるもの及び病気見舞,災害見舞等のような純然たる贈与と認められるものを除く。)をいう。
 F 役員等に対して金銭を無償又は通常の利率よりも低い利率で貸し付けた場合における通常取得すべき利率により計算した利息の額と実際徴収した利息の額との差額に相当する金額
 @からE及びGからK 省略

U 利息相当額の評価(所基通36-49)

  使用者が役員又は使用人に貸し付けた金銭の利息相当額については,当該金銭が使用者において他から借り入れて貸し付けたものであることが明らかな場合には,その借入金の利率により,その他の場合には,貸付けを行った日の属する年の前年の11月30日を経過する時における日本銀行法第15条第1項第1号の規定により定められる商業手形の基準割引率に年4%の利率を加算した利率(その利率に0.1%未満の端数があるときは,これを切り捨てる。)により評価する。

V 課税しない経済的利益・・・・・・金銭の無利息貸付け等(所基通36-28)

  使用者が役員又は使用人に対し金銭を無利息又は所基通36-49により評価した利息相当額に満たない利息で貸し付けたことにより,その貸付けを受けた役員又は使用人が受ける経済的利益で,次に掲げるものについては,課税しなくて差し支えない。
 @ 災害,疾病等により臨時的に多額な生活資金を要することとなった役員又は使用人に対し,その資金に充てるために貸し付けた金額につき,その返済に要する期間として合理的と認められる期間内に受ける経済的利益
 A 役員又は使用人に貸し付けた金額につき,使用者における借入金の平均調達金利(例えば,当該使用者が貸付けを行った日の前年中又は前事業年度中における借入金の平均残高に占める当該前年中又は前事業年度中に支払うべき利息の額の割合など合理的に計算された利率をいう。)など合理的と認められる貸付利率を定め,これにより利息を徴している場合に生じる経済的利益
 B 省略

W 無利息又は通常の利率よりも低い利率で金銭の貸付けを行った場合

  法人が無利息又は通常の利率よりも低い利率で金銭の貸付けを行った場合には,税務上の取扱いは,原則として,次のとおりです。
 1,役員又は従業員に対する貸付けである場合
   (1)通常の利率で計算した利息の額と実際に徴収している利息の額との差額は,給与となり,源泉所
    得税が発生します。
   (2)貸付けを受けた者が役員である場合
    @ 通常の利率で計算した利息の額と実際に徴収している利息の額との差額が毎月著しく変動し
     ないもの
     継続的に供与される経済的利益として定期同額給与に該当しますが,その経済的利益の額と現
     金支給した役員給与の額との合計額のうち不相当に高額な部分の金額があるときには,その不
     相当に高額な部分の金額は,損金の額に算入されません。
     A 通常の利率で計算した利息の額と実際に徴収している利息の額との差額が毎月著しく変動
     するもの
     定期同額給与に該当しませんので,損金の額に算入されません。
 2,法人に対する貸付けである場合
   通常の利率で計算した利息の額と実際に徴収している利息の額との差額は,寄附金となります。
 3,仮払金,立替金,未収入金等として処理されているものであっても,実質,金銭の貸付けと認められるものについては,利息の認定が行われます。

X その他の主な関連規定

 1,役員給与(法法34C,法令69@二)
 2,過大な使用人給与の損金不算入(法法36)
 3,寄附金の意義(法法37FG)
 4,貸付金利子等の帰属の時期(法基通2-1-24)
 5,相当期間未収が継続した場合等の貸付金利子等の帰属時期の特例(法基通2-1-25)
 6,給与としない経済的な利益(法基通9-2-10)
 7,継続的に供与される経済的利益の意義(法基通9-2-11)
 8,子会社等を再建する場合の無利息貸付け等(法基通9-4-2)

回答者 税理士 鵜池 隆充
鵜池隆充税理士事務所 税理士鵜池隆充
〒810-0073福岡市中央区舞鶴2-4-13九州DKビル6階
TEL:092-771-0361 FAX:092-771-0362
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