財務会計の散歩みち

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福岡!企業!元気!のための財務会計ワンポイント 《平成24年9月号》(創刊号)
「公認会計士って何?」

 はじめまして、福岡市博多区で公認会計士・税理士事務所を営んでおります松尾拓也と申します。
 私は、3年前に大手監査法人を退職しまして、独立開業しました。個人事務所では、主に税務業務のほか、事業再編のお手伝い、株式評価、事業再生支援といった財務アドバイザリーの仕事を中心に行っています。また、地場の中小規模の監査法人にて法定監査や上場支援といった仕事にも携わっています。
 独立してからお客様等によく聞かれることは、「公認会計士と税理士は何が違うの?」という質問です。

 ここに公認会計士法、税理士法の第1条をそれぞれ並べてみましょう。

(公認会計士の使命)
 第1条  公認会計士は、監査及び会計の専門家として、独立した立場において、財務書類その他の財務に関する情報の信頼性を確保することにより、会社等の公正な事業活動、投資者及び債権者の保護等を図り、もつて国民経済の健全な発展に寄与することを使命とする。
(税理士の使命)
 第1条 税理士は、税務に関する専門家として、独立した公正な立場において、申告納税制度の理念にそって、納税義務者の信頼にこたえ、租税に関する法令に規定された納税義務の適正な実現を図ることを使命とする。

 簡単に言うと、公認会計士は、監査と会計のプロ。税理士は、税務のプロということになります。
また、それぞれに独占業務と付随業務が法律で定められています。ここでいう独占業務は、それぞれの有資格者以外の人が行うと法律違反となりますので、正に専門業務ということになります。

<公認会計士>(公認会計士法第2条)
 独占業務:報酬を得て、財務書類の監査又は証明をすること
 付随業務:公認会計士の名称で、報酬を得て、財務書類の調製、財務調査・立案、財務相談に応ずること
<税理士>(税理士法第2条)
 独占業務:租税(一部税目等を除く)に関する税務代理、税務書類の作成、税務相談
 付随業務:税理士の名称で、税理士業務に付随して、財務書類の作成、会計帳簿の記帳の代行その他財務に関する事務を行うこと

 一般に、独立開業の公認会計士は税理士登録も行うことがほとんどで、税理士業務も行っているため、一見違いがわかりにくくなるのですが、並べてみると、それぞれの業務の目的や内容が全く異なることがわかると思います。

 それでは、公認会計士の独占業務である財務諸表の監査証明業務とは、なんでしょうか?
 ひらたく言うと、「決算書が適正かどうかを監査する」ということですが、では、どうして適正かどうかを監査する必要があるのでしょうか?

 企業活動には、株主、債権者、投資家等の利害関係者(ステークホルダー)が関与します。しかし、一部の大株主等を除き、株主や債権者、投資家の方々は、企業活動の成果を財務諸表でしか把握することができず、この財務諸表により投資・融資の判断を行います。
 そうしますと、利害関係者は、何らかの形で、財務諸表が企業会計のルールに則って適正に表示されているかを確かめなければならなくなります。  これを利害関係者に代わって、独立した第三者として、財務諸表の適正性を保証するのが公認会計士の役割となります。  日本では、株式を上場している企業や資本金5億円以上又は負債総額200億円以上の株式会社あるいは一定額以上の補助金の交付を受けている私立学校法人などに法定監査が義務付けられています。

 また、公認会計士は、付随業務として、財務諸表の適正性を評価するノウハウを活用して、買収企業の財務調査を実施したり、合併比率を算定したり、事業再編など複雑な財務戦略についての立案を行ったりしています。

 今回は、ここまでといたします。

 次回は、「会計とは何?」と漠然としたテーマを続けたいと思いますが、ゆくゆく皆様のニーズに沿った個別的な論点も取り上げて参りたいと思います。取扱って欲しいご要望などありましたら、下記メールアドレスまでお寄せください。
 なお、当記事は、私の私見であることをお断り申し上げます。

回答者 公認会計士 松尾 拓也
如水監査法人・如水税理士法人
如水コンサルティング
パートナー
公認会計士・税理士 松尾 拓也
福岡市中央区赤坂 1 丁目 12 番 15 号 福岡読売ビル 9 階 如水グループ内
TEL092-713-4876 FAX092-761-1011
e-mail:info@matsuo-kaikei.com
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